SSブログ

書棚のこと(おまけ) [ひぐらし硯 日々のこと]

20101010_15.JPG書棚のことを書いて、周辺の方々に感想を多くいただきました。新刊書店さんだけでなく古書店さんにもお声かけいただきありがとうございました。

一番うれしかったのは、まったく業種とは関係のない方にも感想をいただいたことです。

ひぐらし文庫は、本が好きになりたいけど、なかなか「本読んでいます」というほど読書歴の浅い方のために、楽しくなったり、ちょっと賢くなった気がする本や、本を読むぞという気分にさせる、テンションのあがる雑貨を扱っています。このブログを読んで、それじゃ本を読んでみようかなとか、本屋さんって面白そうと思っていただけるきっかけができたら、これほど嬉しいことはありません。

ただ、一方、業界内にいる方に対しては、今でもこうして書き続けるのはどうなのだろうか迷っています。

というのも、やっぱり本屋は立地と在庫量の商売だからです。どんなにすごい技術を持っていてもかなわないことを嫌というほど知っているからです。仕入れに関しても、時には数量制限され、自分の思い通りの売り方をさせてはもらえないこともあります。技術なんて、そんなの要るの?と言われても、なんの反論もできません。

それでも、業界内にいる人にとっては普通でも、もしかして少しは面白がって聞いてくださるかもしれないし、その話に興味を持って、実際、本屋に足を運んでくだされば、と思います。

ということで、前回までのもので質問をいただきましたので、ちょっと補足だけしておきたいと思います。

 Q:きれいに並べるということが絶対なのですか? 
 A:決して「きれい」だけではないのですが、きれいは前提だと思います。「きれい」の基準は個々にあります。どこまでかという点で、悩むことは多いと思います。厳しい人では、表紙を見せる「面陳」と呼ばれるような、本を立てかけて陳列するのも、本が傷むからと嫌がる先輩書店員もいらっしゃいました。印象的に並べるか、コンディションキープのためにセーブするかどうかは、やはり何が「きれい」か、が前提にあると思います。この基準が薄くなれば、当然イレギュラーもなく、印象を欠くことにもなると思います。

 Q:棚で視線を流したり止めたりすると書いていましたが、具体的にどうするのですか? 
 A:これは本の組み合わせによって何通りもあるので、具体的にという例ができません。

 例えば、帯があるかどうか、傷みやすい装丁かどうか、カバーの色や質感、版型、タイトル(背文字含め)が印象的かどうかなどで、もちろん当然本の内容によって、組合せが違ってきます。その日その日で何が来るかわからないのです。

 Q:思い通りに棚から売れるのでしょうか?
 A:あくまでも売れるように努めるということで、同じ本に人それぞれ感想があるのと同じように、目に止まるものも人それぞれです。きれいに並べるのは、タイトルがきちんと読めて、ストレスなくその本を心の赴くままに手にすることができるからで、選んでいるのはあくまでもお客様です。

 本にもタイトルや装丁など、総合的な力がなければなりませんし、0のものを100にする技術があるというわけではありません。ただ、その総合的な力を並べる際に嗅ぎとって、上手く配置することで売れることはあるかもしれません。お客様と、本と、書店員の、呼吸の加減だなと痛感することが多いです。

 毎日がそのときのノリやアドリブで、まるでセッションのようだなと思うことがあります。店が好調だと、勝手ながらお客様と一体になったような気になりますし、店内在庫が千里眼のようにわかるときもあります。調子の一番いい時は200坪のフロアでほとんど見えていました。嘘っぽいけど。でも、ほんとにその一体感も千里眼もとっても短い期間です。

 もちろん、そのようなあいまいな感じを抜いての話ですと、常に人の目が集まる場所(ポイント)はあります。なぜか必ずあるのです。うちのお店にもありますし、どのお店にもあります。

 長年経験を積んでいくと、棚の中でそうした目を集められる点を作ることができるようになってきます。意識してそれができるかどうか、なのですが、それを把握しているのとしていないのとでは、多少違うように思います。

ということで、次回もし機会があれば、ご要望もありました平台の並びをお話できればと思います。

・・・それほど多くのご要望でもないのになぜ書くよという声が聞こえそうです。それと、やっぱり華やかな話とはいま一つだと思います。おまけに大先輩の方々がお読みになるに至っては、お叱りを受けるほどの粗末な説明かと思います。

といういまひとつ煮え切らない話の〆で、次回に移りたいと思います。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。