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ひねる、ひねるとき、ひねりたい。 [ひぐらし硯 本のこと]

「ひねる」って言葉、ご存知ですか?

古書業界の用語で、特別な価値を持たせるために値を高めに設定するという行為。と、言いきっちゃっていいものかしらん。変わった値つけと見られることもありますが、マニア向け商材ということで市場を見据えて値をつけることもあります。(わたしはできてませんけどね)それでも、本に自分基準の値がつけられることが古書の世界では可能です。だから古書は楽しい。

「高い」「安い」というのは買う側だけにあるように見えますが、古書の場合、値をつける側にも「高い」「安い」というなにかしらの線引きがあり、値段をつけるときに大事なものだという意味をつけるためにそれに見合う価格をつけます。

本当は、自分の価値基準からこれをと思う値段をつけられたらいいのにと思うのですが、もう一人の自分が冷静に、おいおいと肩をたたきます。というのも、わたしが心惹かれるものというのが、ことごとくダメな本だからです。

と、いって、本を紹介するのはもうしわけないのですが、この本が、このわたしを悩ませているニクイ奴。

CIMG4130_copy.jpg『父と子のサーキットの狼ぬりえ 公道グランプリ編 』[本]

これ、新刊の時にも出会っているのです。

見たときはさすがに笑っちゃいました。なんじゃそれ!とツッコミましたよ!それに~編って!あわよくばシリーズ化も視野に入れてるってことにもイラっと来る。ずうずうしいにも程がありますって。

定価では897円で、そこは「やっぱりこれで1000円は出したくないですよね」という慎みも感じるところではあるのですが、なにか、ふに落ちない。でも捨て置けない。うぬ~。

気合やノリ一発で作った本というのはいつの世にもあり、さらに言えば、そういう本に限ってわりと、どこで不安になったのか、作品の着地点が日和見的で、ヒット要素をなぜか足そうとする。そんな計算の高さ、いや、計算の薄さが見え隠れ。最後はぐだぐだな感じに仕上がってしまうのも、どうしようもない「人間の性」が表れており、そんな本がわたしは「大好物」です。

この本のダメポイントは、池沢先生の図案を基にしているのに肝心の車がいまいち少ないこと、他にもあるけれど、究極はセリフを鉛筆でなぞりがきするページ。なぞりがきって。どんだけ要素盛ればいいんだ!もう、なんでもアリだな。

価値のない本だからこそ価値があり、ただ、そこに価値があるからこそ評価なしの価値になる悲劇。それは「値段」でその本の評価をすることになるからなのですが、こうした本の価値を値段以外で表現できたらいいのに。そんなことばかり考えています。

バカな本だと数年後には価値がでるのかもしれませんが、ダメな本はバカになれずに本になってしまったので難しい。でも、でも!でもですよ!もしかして、10年、いや20年後には・・・う~ん、どうなのでしょう。10年後には200万つけましょう!嘘だけど。

ま、電子書籍にはなりにくいのは確かかも。

古書もいろいろと取り揃えております。通販サイトも模様替えしました。[本]
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