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のんべえ春秋 [新着ごあんない(本)]

CIMG6005.JPG木村さんの文章は、すっと人の目を逸らして話すような感じのするところがある。それは照れなのか。でもその気持ちは、どうしても言い表したいという滝のような思いを必死でせき止めているような気がしていて、ややもして箍が外れると、それはとめどもなくなってしまうのかもしれないと、勝手に思いめぐらしたりもする。

だからなのだろうか。ご自分で編集されている木村半次郎商店の本はとてもバランス良く仕上がっている。

今回は、盛岡の雑誌「てくり」編集部木村敦子さんの装丁もくわわって、とってもよい匂いのする本になっています。それは、煮物のような、なにかおいしいものの湯気の匂い。

それに、フォントの力がわかる本でした。

CIMG5996.JPGCIMG5997.JPGCIMG5998.JPGわたしはそれほど呑めるわけではありませんのでわからないのですが、お酒が好きな人は、ひとりでも呑みたくなるようです。で、勝手に想像しますが、カウンターでゆっくり呑むってことができるのは上級者ではないかな?と思うわけです。男でも女でも。それに、本読んで呑む人もいらっしゃるようです。コレ、喫茶店の利用に限りなく近い。

お酒を珈琲やお茶のように身近に感じるひとのため、手になじむ新書サイズの大きさ、片手でめくれるような軽く指にかかる紙質と、そして、昔の岩波文庫くらいの文字の大きさです。文字の種類をわずかに変え、落語のような会話の切り替えしのようにしてみたり、ちょっとある部分で目を休められるようにしてみたりして、大掛かりにはっきりと変えるわけではなく、読む人の浅い呼吸に合わせるように、巧みに誘導しています。

喫茶だとやっぱり、読むぞ!とばかりに、どかんと厚めでも時にはよいのでしょうけど、お酒にはつまみという「相棒」もいるわけで、結果そのサイズになるのかもしれません。酒飲みのための本はほどよい距離感のある本でなければならないのです。

この本を触った時の「なじみ感」は、「のんべえ」でなければ、わからない「しっくり」なのではないでしょうか。そんなのんべえになれずに、もったいない気もしてきます。


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