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苦い思い出 [ひぐらし硯 本のこと]

CIMG2540.JPGこの2冊。初めてのお勤め先、つまりは書店員時代のこと、入社して数年たって初めて、小説やそのほか「文芸書」と一般では呼ばれるジャンルを担当させていただいたときのことを思い出します。

初めてだらけで右も左もわからない新人時代。『シャングリラの予言』に出会いました。

「エスクァイア」日本版の連載の書籍化で、もちろん「エスクァイア」も本当によく売れていた雑誌でしたので、注目度も高かったと思います。ただ、わたしはそれまで長くお料理の本を担当したりしていたこともあり、まったく、そのテのジャンルの予備知識がありませんでした。

とはいえ、当時でも「変わった本屋さんだね」と評されるようなところにお勤めを決めたのだから、みな暗黙の了解で、みんなうちのイメージわかってきているよね、好きだよね、ということで入ってきている人ばかりなわけで、まさか知らないって!と、先輩方もショックを隠しきれないものがあったかもしれません。

見かねてやんわりと「この本は手前に置くほうがいいよ」と指導された記憶がよみがえりました。

それぞれのお店には個性があり、それを伝えるのは一番にどの本をどうやっておくのかなのだと、そのときようやく頭の中がつながったように思います。元来の趣味良さと混じってうまく棚に本を売れるように並べられる、勘のいい子はたくさんいましたが、わたしは少し、いや大分、鈍い子でした。

それに、「続 シャングリラの予言」の装丁。写真ではわかりにくいですが、1枚のカバーを両方向に間隔をあけ折ってあり、赤い部分の裏面が見える印象的なつくりです。これ、今、流通に乗せることできるのでしょうか。数年前、このような装丁で本を出そうと思ったら難色を示された出版社さんがありましたが。どうなんでしょう。

新刊書籍は、触れた瞬間、指先に、作った方の息遣いまで伝わったりして、何時間でもいられるほど楽しいのですが、古書だって、見たことも触れたこともないというものを、手にして新しい発見もあれば、今まで自分が目に触れてきたものたちが一気によみがえることもあり、感動的です。

新刊書にも古書にも、それぞれに異なる出会いがあってどちらも楽しいです。
それが苦い思い出であったとしても。

『続 シャングリラの予言』 立川直樹 森永博志 東京書籍
『シャングリラの予言』 立川直樹 森永博志 講談社

お値段は店舗確認となります。また1点ものですので、お品切れの場合はご了承ください。

他にも多くの古書が入荷しております。

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