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平台のこと。最終。 [ひぐらし硯 日々のこと]

前回も同様書店で働く皆様が誰もがやっていることで、あらためて大ごとのように書くのはどうなのだろうと逡巡する日々ですが、一番肝心なのはおそらく最後の部分、「組み合わせで、売り上げを作っていくというところだと思います。

一部しか紹介していないと言っているのは、その部分部分のさりげない一言の方が肝心であって、おそらく、関係の方々は「そこじゃん!」と、わかっている人はみな思っているからです。

それはそれぞれの書店におかれた状況、環境、資料の内容、土地柄など、担当者の状況、環境、姿勢にもよるかと思います。同じことをしてやれることもあれば、やれないこともありますし、当然「あるもの」が手に入らないことも多く、どういう風にするのかという具体的な方法は、やはり、告げられるものではないように思います。

決して、誰でもその日に行けば本が出せる、そして、どの本を棚から外すかがわかるというものではありません。バーコード管理されているなら把握できるはずと思われがちなのですが、その本が1冊売れれば、確実に1人買う人間が減る商品なのです。どういったアプローチで購入を決めたかというのもさまざまです。ただ、他の業種の方でもそう感じられている方は多いかと思います。

だからこそ、担当者が判断しその売り場を育てていかなければならないのです。

前置きが長くなりましたが、
今回は「平台」と呼ばれる場所に書店員さんはどう積んでいるのか?です。

丈夫に、きれいに、より多く売れるためにはどうすればよいのか。

まずは「丈夫」にですが、5冊ずつ、交互に積んでいくということ。

本は乾燥に弱いため、反ることがあります。またもや単純計算ですが、わずかに1㎜だとしても10冊積めば1cm傾くことになります。交互に積んでいくのは「丈夫」のためで、5冊というのは3でも10でもいいのですが、これは「売れるため」の作業です。例えば、これは2回交差すれば10冊。先日15冊出したから、5冊売れたということをいちいちパソコンで調べなくても、実物を見ればわかるようにさせるためです。

書店員さんがその日の、1冊の新刊を意識しているのはどれくらいの時間かご存知でしょうか?

ほとんどは、新刊情報が入った段階と、問屋(取次)に入った時点の自店入荷数が判明する2段階に、実物を見ず、10分もしない状況で判断します。最終で新刊(装丁や内容)を確認し出して反応あるなしの3~4時間です。おそらく、1冊にかける時間は、同時進行でも4時間から5時間弱かと思います。その本の運命はその時点でほとんど決まります。効率よくするには、やはり現場での瞬時の判断がベストです。

よく言われる担当者の勘というのは、定点観測での経験値からくるものです。ケイタイ小説等の普段本を読まない客層を対象とした話題作の数を読み切れない弱さもときにありますが、勘、感覚であることをそれほど軽視するべきものではなく、勘と数字の双方の良さを生かした作業を理解していくことが、これからの書店ではより必要になっていくのではないかと思っています。

CIMG4492_copy.jpg交互に積んでいくのにも注意が必要です。

以前は下敷き1枚、積んだ本の間間に、挟んで積むようにしていたこともありました。なぜなら、「きれい」と「売れる」ためなのです。



見本で、孔雀洞雑貨舗の豆本を使用しています。大型新刊書店のように、とてもきれいな上製本を何冊も店にご用意しておらず、撮影に使ってすみません

CIMG4490_copy.jpgCIMG4491_copy.jpgこの作業をしている人はもうほとんどいないかと思いますが、下敷き1枚分を自分に心がけて出すようにしていれば、大丈夫です。要するに、交互にするのに咬まないようにすればよいということです。

でも、案外、手をのばして、ひょいと持ちあげると、次の本が持ちあがったりしているものも見かけます。せっかく、買おうかな?という軽い気持ちも重くなります。パソコンでぽちっと押せば買えるのが簡単だと思う買う側の心理を、ずっと前から、販売する側はわかっているのです。

新刊台は、手前のものから2面までが売れ足の速いもので、毎日のように入れ替わります。3面以降からはロングセラー商品で、数の確保がしやすいのと同時に売れ予測もつきやすいものが入ります。宣伝や出版社側作成のPOPやさまざまな販売体制が整うということも理由としてあげられます。手前から奥に昇格する本は当然多くはありません。2週間に全面的に見直すなど、遠目でも変化のない店と思われないようにしなくてはなりません。毎日でもこまめに位置を変えていかないと飽きられてしまいます。

最近は、追加対応も早く、より点数の多くなった新刊の対応で、たくさん積んでおくということはなくなりましたが、そんなときにもピラミッドや山のように積むか、その逆で逆三角か、など、積み方もそれぞれ個性を出している書店がありました。ちなみに、逆三角はなぜかと言えば、左から右に人の目は集中するので、左手の一番右端が売れるという根拠から。もちろん、新刊を出して1時間で自然に逆三角ではなくなるという予測での作業です。

平台も左から右の視線を意識した並べ方をしますし、その目線の延長に、その本のジャンルの棚がいくように、配置をしていきます。

見えない規則が山のようにありますが、それを優先順位をつけつつも、並べていくのです。

おそらく、補充も合わせての売り場を作る作業は1日2時間あればいい方です。
その作業をしながら同時に書店員さんは考えています。

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