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軽すぎる文体、重すぎる装丁、熱すぎる痕跡 ― 『痕跡本のすすめ』 [新着ごあんない(本)]

kon.jpg 『痕跡本のすすめ』 
古沢和宏 太田出版 ¥1365

ここを訪れる7割近くの方は、「痕跡本」をご存じでいらっしゃるのではないか?と思われます。その7割の方ではなく、今回は3割の方にお伝えするべく、頑張ってみようかと思います。

この本は五っ葉文庫店主古沢さんの著書です。以前からイベントごとにご案内させていただいていたかと思いますが、痕跡本とはそもそも何なのか?痕跡本はこちらのサイトをご覧いただくとよりわかりやすいかもしれません。

痕跡本とは、刊行された本たちが誰かの手に渡り、その持ち主がなんらかの足跡を残したものを指します。そこには何かしらの思惟が隠されている(と思う!)それを念じ!じわじわと推理し浮き出していくのが「キモ」です。例えば夜のメールを朝見返して猛烈に恥ずかしくなる。これは自分自身だから恥ずかしいのであって、他人だと思うとつい吹き出しちゃうことがある。

今!納得した方!そう!その笑い!ソレ!です。

わたしも買取をしつつ気がついたことですが、この際だからと段ボールをそうですね・・・2箱以上超える買取をやろうと試みる方はほとんど2箱目の段階で、ランナーズハイならぬ「買取ハイ」という感じになっているようで、「もうなんでもっ!」という熱気ムンムンの箱があったりします。そんなときこそ、痕跡本誕生の瞬間。そのとき歴史は動いた!・・・か?ほんまかいな!と、東女のわたしが関西弁を使うほどのツッコミが出るほど、トンデモ痕跡だって見られます。こんな歴の浅いわたしでさえ、そんな目玉の飛び出るよなことがあるわけで、古書店歴ウン十年などと言った方はそれはそれは茶飯ごとのようであるのだろうと察します。

ただ、普段なんでもないようなことをなんでもないようにすごすと、THE虎舞竜のように「幸せだったと思う」で終わるのでしょうけど、そこをあえて立ち止まって見る。「ほんまかいな?」と「なんでだろう」は、猿から人への第一歩なのではないか?と思うのです。ゆえに人は心揺さぶられるのではないでしょうか。

まさに、古沢さん、いいえ、ごっぱ君(勝手に命名)は、猿から人へとわたしたちを誘う、開拓者であり大いなる馬鹿と賞賛してやみません。

手に取りページを開いてみれば、ごっぱ度(まったく勝手に名称)フルスロットル!な文章と、ヒクくらいの激アツ痕跡本。なのになにゆえか重厚な装丁で、これが軽めの文体をやや格式高くしており、昔、テレビやピアノにかけられていたような天鵞絨のカバーのようで、ありがたみ度5割増しです。CIMG5823.JPG

本当に目からくる情報というのは強いもので、「ガワ」のイメージのままうっかり手にしようものなら、その激アツな痕跡本から、「アタシは今、ギンギンに燃えてるんだ! アタシに触ると、ヤケドするよ!!!! 」と、大映ドラマ「ヤヌスの鏡」(20代以下の方はwiki参照)のようなセリフさえ聞こえてきそうです。

軽すぎる文体、重すぎる装丁、アツすぎる痕跡。

ぜひ、ご堪能ください。

特典:サインつき特典リーフレットがもれなくついております。


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『見知らぬ老人とルームシェア』 [新着ごあんない(本)]

CIMG5817.JPGなにかしら表現をしたいという方、またしている方はプロアマ問わず、多くいると思います。

音楽、舞踏、服装、絵画、工芸、手芸、そして文芸など、いろいろな表現があります。

以前ある作家さんが、作家になった理由として、紙と鉛筆があればその日からできるからとおっしゃっていたのを思い出しました。

現在では、発表の場はおろかネットを利用すれば販売まで、自分から共有できる誰かに託すことができます。ずいぶんと便利な世の中になりました。また、ブログで更新していくうちに紙の媒体で表現したいとおっしゃられる方も多いのですが、紙媒体もだいぶソフトや製本の技術が進歩し、制作費用も冬物のコートを新調するのに少し我慢すれば、決して手の出ない金額ではなくなってきています。

当店も作品の数々の持ち込みの機会が多くあります。
必ず、そこで読んでみて第一印象、感想、もしくはひっかかるときには質問をします。
ただ、わたしは本屋さんなので、感想は一般の読者の方々よりも独特なものであるかもしれません。

的を得ているかどうかはわかりかねますが、ちょっと掠る程度であっても、似ている作家、似ている作品を思い浮かべます。他の方にお勧めする場合でも、店頭に出す場合でも、こうして連想した説明(陳列)が一番効果的なので。

『見知らぬ老人とルームシェア』 佐光才近 ¥300

この作品を持ち込みいただいたときには、ユアグローを連想しました。もちろん、ユアグローと並ぶわけではありません。ユアグローに申し訳ないが、浮かんでしまったものはしかたない。やや詳しく表現しますと、「ユアグローの二番出汁」という感じ。もしくは「甘噛みのユアグロー」。著者の方には失礼な言い回しなのは承知の上で、二番出汁だって出汁は出汁。ユアグロー自身少しクセありですし、「口当たりがよい」ともいえなくもありません。まだユアグローを未読の20代の方でしたら、程よい噛み心地やもしれません。

ああ、ここまで書くのに、どう書くべきかとっても迷って何度も書き直しました。

作品のご紹介をしようにも、短文の場合はあらすじがないか、完全ネタバレになるので、説明が「印象」になりがちです。想像力を駆使して書こうと念じておりましたが、まったくもって燃料不足。かたじけない。

だから他の人よりもちょっとだけ幅広く本を読んでいるのかもしれません。わたしはいつのまにか純粋に趣味のためだけはなく、仕事で連想をするときのために読んでいるのではないか?という気持ちが湧いてきて、残念というよりは、当然そうなるよなぁと感慨深いです。

それは自分に限ってのことではないような気もしております。
作り手側の方たちにも独特な読書というのがあるのではないでしょうか。

なかにはまったく読書経験なしで、文章を書いている方もいらっしゃるのかもしれませんが、わたしの知っているもしくは見聞きしている方々で、文章の優れていると思われる方は読書家だなと思うことが多いです。心が動く源は千年前の昔から同じかもしれませんが、書き手の表現力や読み手の想像力次第で、伝わり方が大きく違ってくるような気もしております。

刊行すぐに古本として出回ることも多いこのご時世、同じ金額払うなら安い方という選択もあるでしょうけど、潜在意識を駆使して、同じ物語をより深く愉しむという選択もあるかもしれないなぁと思います。

こちらの冊子は、ご来店の印象でお買い求めをお勧めします。
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「趣味と実益」 [新着ごあんない(本)]

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明・大・昭・不良.jpg「趣味と実益」は、『明治大正昭和不良少女伝』の著者である、平山亜佐子さんが制作している超個人雑誌(ミニコミ)です。

いきなりですが、宮武外骨という人はご存知でしょうか。(wikiリンクを貼りました)

今時ならば普通に?お暮しになられているご婦人には、本屋さんに足を向けても自然には出会えない御仁かもしれません。だからと言って、そのままお過ごしになられるのも、もったいない。

ちらりとでもご覧あそばせば、なぜいきなりそんなことを言い出すのかわかるのですが、「滑稽新聞」などの宮武外骨の雑誌、新聞に、おっと、おおっと、興味をお持ちになられれば、おそらく、このミニコミも楽しめるかと思います。

よのなかのよしなしごとを、おもしろおかしくもじりたおしながら、もうれつにひはんする。
かなり過激なのですがなぜかそこはかとなく愛嬌があるのが、特徴です。

発行お知らせのチラシを見たときに、これを女性の方が書いているということに少なからず驚きを隠せなかったのですが、よくよく読めば、ほどよい乙女目線あり、ご愛嬌、当社比?3割増しという感じに仕上がっております。

この続きで、『明治大正昭和不良少女伝』をお読みになられると、とても楽しめるように思います。「ほんまかいな?」と思うような、破天荒な記事の数々に、それまでのオトメイメージが思いっきり覆され、かなり興味をもたれると思います。

「趣味と実益」 第壱~第参號 まで 各¥500
春ごろには、肆(四)號もでる予定とのこと。

通販も承ります。[本]
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OZ magazine 2月号 雑貨特集にて当店商品が掲載されました。 [店舗情報]

CIMG5797_copy.jpg OZ magazine 2月号 雑貨特集 にて
当店商品のご紹介をいただきました。


紹介いただきました商品は、
通販でもご購入いただけます。[本]











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盲本道合戦 [ひぐらし硯 本のこと]



「盲本道合戦2012新春トーナメント」
個人的になかなか奥の深い、新たな発見のある大会でした。

さて、最初の頃には順調に(でもないですね)盲本していたのですが、ふと、いや、はたと思いだし、わたしは、いやいや、仙人は半狂乱になりました。

本来ならばそれを明かすのはどうなのか?と思いましたが、盲本技術革新のため、盲本推進委員長として、一競技者の心境のままでいては後進のものが育たない。本来ならば対戦者の手前、明らかにするには自殺行為といえども、競技のおもしろさをまだ体験していない人のために、その面白さ、見所を明らかにすべきではないか?と、そう思う所存でございます。

・・・・ということで、どうしてあわててしまったかと申しますと。

一般の本といわれるものは、何冊も作るものですから、当然のように何枚もの紙を重ねて裁断します。特に並製本(ソフトカバー)によく見られるのですが、小口部分にちょっとしたざらつき感を感じます。



ただ紙というものは強度があり、だからこそ、何十年何百年と保存のきくものなのですが、屈強なカッターでさえまとめて切ると、どうしても切れあとで荒い部分ができます。

以前から下の部分にざらつき感があったことを思い出して、指先でなでていました。この日、「相当」の風邪を、しかも、「いい塩梅」にひいており、得意の嗅覚がいかせずにおりました。本来なら多くのヒントを視覚以外の感覚で予想しながらも、最終段階、嗅覚で判断する競技スタイルなわたし、いや、仙人なのですが、今回は触覚をたよりに予想をしていきました。

CIMG5789_copy.jpgCIMG5792_copy.jpg










その裁断の荒い部分は、下部分、つまり地の方によく、わずかながら指先で感じられます。本当にわずかなので、わかりにくいですが、指先で紙の流れに沿って触ってみるとわずかですが、ざらっとした感触があります。(画像左が天、右が地です。拡大しないと見えにくいので、指先に勝手に表情をつけてみました)

と、途中、そういえば、ざらつき感は特にその出版社もしくは製本の関係によってであって、あまり確実に地とか天とか関係ないのかもしれないと、時折見ている工場見学の印刷、製本動画など思い浮かんできて、思わず錯乱してしまいました。

ただ、最初予感したものはあながち外れてはいなかったようで、あわて損ということになってしまったようにも思いましたが、やはり、まだまだ、奥が深い道であります。

何度か続けていて、盲本道の競技ばかりに目をやりがちですが、この選本タイトルもイカスものとなっております。その挑戦者のゆかりのお品が混じっていたり、函もの、ハードカバー、ソフト、文庫、と、その対戦に合わせて、両対戦者に偏らない選書、かなり練られた感じの選本で、わたしも推進委員会と言ってはおりますが、その技術をやあやあ言っておるばかりで、こうした下支えなくしては、番組も成り立たずということも申し上げねば。

一日にして、盲本道ならず。でございます。

盲本道。
道は険しく、遠いです。
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3度目の開店日。 [店舗情報]

%A5%AB%A5%EC%A5%F3%A5%C0%A1%BC.pngご報告遅くなりました。
1月後半の営業日カレンダーです。

まだ未確定のこともあり、臨時でお休みをいただくこともあるかと思いますが、お休みをいただく場合は当ブログ・ツイッター(@higurasibooks)にて、ご連絡させていただきます。

さて、

CIMG5553.JPG本日1日9日は当店3回目の開店日となります。
3年目についに突入ということになります。
ここまで来たのが奇跡。
その言葉しか浮かびません。

ひとえに皆様の支えでここまでこれたという気持ちでいっぱいです。ただ、「ここまできた」という思いよりも「ここまでこれた」という驚きや、この先のことで頭がいっぱいというのが正直なところです。


できれば、お名前や言葉を交わしていない、それでいて、お店にいらしてそっと応援して下さる方々にお答えしたいと思っております。

【1月14日(土)15日(日)2日間限定のプレゼント】

1月14、15日の2日間。当店にてお買い上げの御客様全員に、キャンディーキャンドルのお好きなお色1つプレゼントいたします。

15日には手創り市もありますし、少しでも多くの方にお立ち寄りいただければと思います。

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1月7日(土)営業時間変更のお知らせ。 [店舗情報]

201109211551000.jpg「ヒゲよさらば」と申し上げましたが。

前回さらりとアップしたように、ヒゲを再び、伊達公子のような面持ちで、つけさせていただきます。

1月7日(土)は、営業時間急遽変更し、
11:00~18:00までとさせていただきます。

幾分、「ヒゲ」装着のため、18:00も18時オンタイム、きっかりに店じまいすることもございますが、なにとぞ、ご了承くださいませ。

ヒゲヒゲとなんだろう?と思われる方は、こちらのページ、および下の動画にて、店舗のイメージ戦略などそっちのけで頑張っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。






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あけましておめでとうございます。 [店舗情報]

CIMG5738.JPGあけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。

昨年からお話しさせていただいております、店舗営業日など営業内容変更の件ですが、シェアもまだ未定となってはおります。このたび、変化に合わせられるようレイアウト変更をさせていただきました。多少見た目も変わっているかと思います。

ただ、肝心の8日以降の店舗営業日の予定の御報告が先にできず、申し訳ございません。できるだけ早くの御報告をさせていただければと思っております。これからも徐々に変更させていただくことがあるかと思いますが、これからも手にしたくなる本を1冊でも多くご案内させていただきたいと思っております。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

店舗周辺の年明けイベントをご紹介いたします。

1月7日(土)8日(日) 11:00~16:00
第1回 鬼子母神通り 外市~街かどの古本縁日!~
外市がリニューアル復活! 
みちくさ市でもおなじみ、キク薬局ガレージ周辺で開催。

1月7日(土)17:00~
わめぞTV「盲本道合戦2012 新春トーナメント」

詳細はわめぞblogから。

外市のゲストは、古書往来座から場所を移してのリニューアルとして、多くの方が参加されます。

蟲文庫さん(倉敷)古本 徒然舎さん(岐阜)
ジュンク堂仙台ロフト店の佐藤純子さん五っ葉文庫(愛知・犬山)

他にもみちくさ市のような形式で出店される方々もいらっしゃいます。


そして

1月9日でひぐらし文庫も3周めとなります。


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