とりといと (tori to ito) 鳥の刺繍栞 [新着ごあんない]
喜びは次の喜びを、怒りは次の怒りを、悲しみは次の悲しみを、楽しさは次の楽しさを生みます。
同じように、物語は次の物語を生みます。
事の始まりは「羽根箋」でした。今回ご紹介の「とりといと」さんは鳥刺繍作家さんです。当店であつかっていた「羽根箋」をご覧になられ、鳥の刺繍で栞を作ってみてはどうだろう?と思われたそうです。見本を拝見させていただくと、確かに精密な刺繍で、まるで図鑑から飛び出したような、それより立体感もあり、ひと目見て声を上げてしまいそうになりました。
ただ、最初にお値段をお聞きして、どうしてもお店にご用意するというのに踏み切れませんでした。決して驚くほど高いということはありませんでしたが、例えば2000円と1998円はほとんど変わらぬのに、お財布を持つ手の重さは2円よりも重いように感じます。安いからいいというわけではないという前置きをしつつ、お買い物をする方になったつもりで、その気持ちを正直にお伝えしました。
その後、苦心されこのお値段に。
刺繍の糸というのは6本の糸がまとまっている状態で販売されています。そのまま刺繍することもありますが、細かい刺繍をするときには、その6本から1本ずつ抜いていきます。1本取り、2本取り、などと刺繍をする人には言われています。これは2本で刺繍されています。
例えば、枠の中、0.3の細いペンで枠を塗るのと、0.5で枠を塗る手間や時間はまったく違います。ただ、多少細かい線による塗りの風合いが変わってくるかもしれませんが、ちょっと見ただけではわかりにくく、ぷっくりとした愛らしさを感じます。なによりもこの栞の一番大事なところが失われることなく、ひと針の重みが伝わってきます。
裏地は合皮ですが紙に滑ることなく、ちょうど文章の小枝に、ちょんと止まっているようです。その手触り感、是非、お手にとってお楽しみください。